法人関連の改正
一定の同族会社の役員報酬の一部損金不算入制度
役員報酬額の改定についての制限
役員賞与の損金算入制度
役員退職金
交際費等の損金不算入制度の見直し
研究開発税制
情報基盤強化税制の創設
中小企業の投資促進税制
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例
同族会社の留保金課税
買収された欠損法人の欠損金の損金算入制限
一定の同族会社の役員報酬の一部損金不算入制度
1 内容
(1) 対象法人
同族会社のうち、その業務を主宰する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上の数の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等に対象法人となります。
(2) 損金不算入となる役員報酬の額
(1)に該当する法人が、その業務を主宰する役員に対して支給する給与の額のうち、給与所得控除に相当する部分として計算される金額について、損金不算入となります。
従来より役員報酬は給与所得控除というみなし経費を差し引いた金額に課税が行われており、会社を設立して役員報酬を受け取る方が個人事業より税負担を軽減する効果がありました。
(3) 損金不算入の適用が除外される場合
次の@またはAに該当する場合は適用されません。
@ 同族会社の所得等の金額(所得の金額とその役員に支給した損金の額に算入された給与の額の合計額をいう。)として計算される金額の直前3年以内に開始する事業年度における平均額が年800万円以下である場合。
A 上記@における平均額が800万円超3,000万円以下であり、かつ、その平均額に占めるその給与の額の割合が100分の50以下である場合。
(4)適用時期等
この規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
なお、同族会社がこの規定の適用をうける法人に該当するかどうかは、その事業年度終了の時の現況により判断されます。
2 対応策
上記制度を回避するため、対応策として以下の方法が考えられます。
(1) 同族関係者以外に、発行済株式総数の10%超を譲渡する。
この場合には譲渡する価格や譲渡する相手により、所得税・贈与税・法人税などの課税関係が生じることがありますので、譲渡価格や譲渡先については慎重に吟味して決定する必要があります。
(2) 役員を増やす。
業務主宰役員等が常務に従事する役員の半数以下であれば、この規定の適用除外となりますので、従業員を役員に登用することによりこの適用を回避することも考えられます。
(3) 同族の従業員への給与を増額する。
業務を主宰する役員に支給する給与が損金不算入の対象となるため、役員に支給する給与を減額し、同族の従業員に対して給料を増額する方法も考えられますが、今後の法令等の制定により、みなし役員などにも損金算入制限が適用される可能性もあります。
↑TOP
役員報酬額の改定についての制限
今回の改正により、役員に対する定期の給与(役員報酬)に関して、定期同額給与の範囲(※)が新たに政令で定められました。
定期同額給与の範囲を定めることにより、役員に対する定期の給与の支給額の改定について制限を設けることになり、定期同額給与に該当しない部分は臨時的な給与として、損金不算入となります。
改定した定期の給与が定期同額給与に該当(損金算入)するためには、増額の場合は事業年度開始の日から3ヶ月以内に改定し、その事業年度中は同額を支給しなければなりません。減額の場合は著しい経営状況の悪化などの合理的理由がある場合に限定されています。
この規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
(※)定期同額給与の範囲等
@定期給与の額につきその事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から三月を経過する日までにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与をいう。
イ その改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与
ロ その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与
A定期給与の額につきその内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりその改定がされた場合のその事業年度のその改定前の各支給時期における支給額及びその改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与。
↑TOP
役員賞与の損金算入制度
1 定時定額要件の緩和
従来の役員賞与は損金算入が認められませんでしたが、今回の改正により、あらかじめ支給時期・支給額等を定めていれば、損金算入が可能になります。
(1)損金算入となる役員給与
従来の役員報酬に当たる定期同額給与の支給がある場合、別途特定月に増額支給する分(従来の役員賞与)が損金算入可能になります。その用件として、その増額支給する給与分だけの事前届出が必要となります。
但し、実際の支給額が届出額と異なる場合には注意が必要です。
@ 実際の支給額が届出額を超えた場合
届出額を含めて全額損金不算入になります。
A 実際の支給額が届出額を下回った場合
合理的な理由があれば損金算入可能ですが、その理由に着目して実態判断で取り扱われるものと考えられます。(下回った金額は未払金として計上し、源泉税の納付が必要となります。)
(2)事前届出の期限
下記@、Aのいずれか早い時期となります。
@ その役員給与に係る職務執行が開始する前
A 会計期間の開始の日から3ヶ月以内
但し、初年度の特例として、施行日以後最初に開始する事業年度については、上記@、Aのいずれか早い日が、施行日から3ヶ月を経過する日以前となる場合には、その届出期限は、その3ヶ月経過日となります。
3月決算法人の例
(定期同額給与あり。職務期間を通じて6、12月に賞与を支給と仮定)
平成18年6月支給分の賞与については、初年度の特例として提出期限は6月末になります。また、12月支給分については、上記@、AのうちAが早い方となるので、6月末までに確定額を届け出れば損金算入が認められることとなります。
(3)適用時期
この規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
2 業績連動型役員給与
(1)損金算入となる役員給与
利益を基礎として算定される役員給与のうち、非同族法人が業務を執行する役員に対して支給する給与で、当該事業年度において損金経理がされていること、算定方法につき報酬委員会における決定等の適正な手続が執られており、かつ、有価証券報告書等で開示されていること、その他一定の要件を満たすものについては、損金算入が可能となります。
(2)適用時期
この規定は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
↑TOP
役員退職金
役員退職金について損金経理要件が廃止されました。
役員退職給与引当金を積み立ててきた法人は、会計処理上は引当金の取崩の処理を行い、別表で減算することにより、損金算入が可能になります。
この規定は、平成18年4月1日以後に開始される事業年度から適用となることから、この6月の株主総会で決議される役員退職金については、この規定が適用されます。
↑TOP
交際費等の損金不算入制度の見直し
交際費等について、損金不算入となる範囲から、1人当たり5,000円以下の飲食費を除外するとの措置が新たに設けられます。
これは、社外の者に対する飲食費(当該法人の役員・従業員の間の飲食費を除く)に限定されています。従って、損金算入の適用を受けるためには、支払い先からの領収書や請求書等のほかに、接待等の相手先や飲食の席に出席した人数を記録しておく必要があります。
また、飲食費に限定されていることから、接待に際して相手に贈答品を送るような場合に、これを金額計算に含めて判定するような処理や、ゴルフ接待や宿泊を伴うものについて、飲食費等の部分を抜き出して判定するなどといった処理は認められません。
この規定は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用されます。
↑TOP
研究開発税制
1 試験研究費の総額に係る税額控除制度
試験研究費の総額に係る特別税額控除制度について、増加試験研究費の特別税額控除制度を統合し、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の特別税額控除割合に5%を加える特例が2年間の時限措置として講じられました。
2 中小企業技術基盤強化税制
中小企業技術基盤強化税制について、試験研究費のうち比較試験研究費を上回る部分の特別税額控除割合に5%を加える特例が2年間の時限措置として講じられました。
上記1、2の規定は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する各事業年度において適用されます。
↑TOP
情報基盤強化税制の創設
IT投資減税が廃止され、情報基盤強化税制が創設されました。
情報基盤強化設備(※)を取得し、国内事業の用に供したときは、取得価額の50%の特別償却または10%の税額控除を選択適用できる制度です。
資本金1億円以下の法人である場合は一定のリース資産の賃借の場合も適用があります。
(※)情報基盤強化設備の範囲
@ネットワーク管理サーバーOS、同時設置のPCサーバー
Aデータベース管理ソフト、同時設置の遠隔操作ソフト
B@又はAとともに取得するファイアーウォール目的のハードウェア及びソフトウェア
(いずれもISO/IEO 15408 に基づいて評価・認定されたものに限る)
特別償却及び特別控除が適用される範囲や要件、限度額は以下の通りです。
| 要件 | 資本金の額 | 選択適用 | 控除限度額 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
1億円 以下 |
1億円 超10億円 以下 |
10億円 超 |
特別償却 | 特別控除 | 法人税額の20% (控除限度超過額 は翌1年間繰越可) |
| 情報基盤強化設備 等の取得価額 |
300万円 以上 |
3,000 万円以上 |
1億円超 10億円 以下 |
取得価額の50% | 取得価額の10% | |
| 情報基盤強化設備 等のリース総額 |
420万円 以上 |
なし | なし | − | リース総額の60% 相当額につき10% |
|
この規定は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得等する設備等について適用されます。
↑TOP
中小企業の投資促進税制
青色申告書を提出する中小企業者等(※)が一定の機械等を取得し、国内事業の用に供したときは、取得価額の30%の特別償却が適用(資本金が3,000万円以下の中小企業者等については、この特別償却の適用に代えて7%の税額控除を適用することが可能)できる改正前からの制度が2年間延長され、対象資産に一定のソフトウェア及びデジタル複合機が加わり、電子計算機以外の器具備品が除外されました。
情報基盤強化税制との重複適用はできません。
この規定は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得等する機械等について適用されます。
![]() |
購入 | リース | 控除限度額 | |||
| 取得価額 | 特別償却 | 特別控除 | 取得価額 | 税額控除 | ||
| 機械装置 | 1台160万 円以上 |
取得価額 の30% |
取得価額 の7% (資本金 3,000 万円以下 が対象) |
1台210万 円以上 |
リース総額 の60% 相当額の7% |
法人税額の 20%(控除 限度超過額 は翌1年間 繰越可) |
| 器具備品 | 同種設備 120万円以上 |
同種設備 160万円以上 |
||||
| 普通貨物自動車 | 1台3.5トン 以上 |
1台3.5トン 以上 |
||||
| 内航船舶 | 取得価額の 75%が対象 |
適用除外 | ||||
| ソフトウェア(追加) | 70万円 以上 |
100万円 以上 |
リース総額 の60% 相当額の7% |
法人税額の 20%(上記 繰越可) |
||
(※)中小企業者等
資本若しくは出資金額が1億円以下の法人、又は、資本若しくは出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人及び農業協同組合等をいいます。
但し、発行済株式総数又は出資の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人や、発行済株式総数又は出資の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人については、上記の要件を満たしていても適用しません。
↑TOP
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例
青色申告書を提出する中小企業者等(※)の少額減価償却資産の損金算入の特例(取得価額30万円未満の減価償却資産の全額損金算入を認める制度)について、適用期限を2年延長するとし、あらたに上限金額が設けられることになりました。
今回の改正では、当該事業年度において、特例の適用対象となる損金算入額の上限を300万円までとし、それを超える部分については対象から除外することになりました。
この規定は、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得等する減価償却資産について適用されます。
↑TOP
同族会社の留保金課税
同族会社においては個人所得税の税負担軽減のため、配当を少なくして会社に利益を留保することが多く行われていますが、その留保した金額が一定金額以上(留保した金額から留保控除額を超える場合)になると特別の法人税が課税される仕組みとなっています。
今回の税制改正では留保金課税に関し、対象となる同族会社の判定要件・留保金課税の不適用要件・留保控除額について改正が行われました。
対象となる同族会社の判定対象は限定され、控除額は大きくなりましたが、不適用の要件範囲が狭まりました。
改正前と改正後の内容は下記の通りです。
| 改正事項 | 改正前の内容 | 改正後の内容 | |
|---|---|---|---|
| 留保金課税対象となる同族会社 | 3株主グループによる判定 | 1株主グループによる判定 | |
| 不適用要件 (留保金課税対象とならない要件) |
自己資本比率50%以下 の中小法人 |
(廃止) | |
| 新事業創出促進法の中小 企業者で設立後10年以内 の事業年度 |
(廃止) | ||
| 新事業創出促進法の認定事業者で経営革新計画の 認定を実施している事業年度(継続) |
|||
| 留保控除額 (各基準の 最も大きい 金額) |
所得基準 | 所得等の金額の35% | 所得等の金額の40% (中小法人は50%) |
| 定額基準 | 年1,500万円 | 年2,000万円 | |
| 積立金基準 | 利益積立金が資本金の25%に満たない場合の その満たない部分の金額 |
||
| 自己資本比率基準 | − | 中小法人で自己資本比率が 30%に満たない場合には、 その満たない部分の金額 |
|
この規定は、平成18年4月1日以後に開始される事業年度から適用されます。
↑TOP
買収された欠損法人の欠損金の損金算入制限
欠損法人が、買収(発行済み株式の50%超を保有)された場合において、その買収された日から5年以内に、従前から営む事業を廃止し、かつ、その事業規模を大幅に超える事業を開始したこと等一定の事由に該当するときは、その該当する日の属する事業年度前において生じた欠損金額について欠損金の繰越控除制度は適用されません。また、その事業年度開始の日から3年以内(その買収された日から5年を限度)に生ずる資産の譲渡等損失は損金の額に算入されません。
欠損会社を利用した租税回避行為を防止しようとするものです。
この規定は、平成18年4月1日以後に買収された欠損法人について適用されます。
↑TOP



